ちびすけと家の2階にいた。
両親は車で買い物。
母から電話がかかってきた。
「家から富士山見える?」
…家の前は海で方向も違うから見えるわけないじゃないと
窓を開けて外を見ながら言おうとしたところ
富士山が見える?!
おかしい、とよくよく見ると津波だった。
この距離じゃ間に合わない。
まだ2階だからここにとどまった方が良いかもしれないと思い
「富士山じゃない、津波が来てるよ」というと
母はそれほど大事とは思っていないのか「あ、そう」と返事。
電話を切りちびすけを抱きしめできるだけ外が見えないように顔を隠した。
大きな地響きを聞きながら目を閉じた。
しばらくすると家も揺れ、窓が少し開いていたので水が家に入ってきた。
慌てて窓を閉める。
どこかで(本当の津波はこんなものじゃないんだろうな)と思いながら。
音がやんだので2階から外を見ると地面がぬれていた。
1階に祖母がいるのを思い出したが
階段の下で物音がしたので大丈夫か。と思った。
どこかで(2階から水が入ってきたんだから本当だったらダメだろうに)と思いながら。